言事堂の日記帖(2023.4-)
2023.6.4
5月は週末に雨が多く、店売りの売上がおもわしくなかった。このままでは非常にまずい。出来うる限りの努力をしていきたい、ということで、新入荷本専用のtwitterアカウントを早速作る。古書も新刊書もこちらに掲載していきます。店頭の新刊書POPを増やすなど、やることはいくらでもある。
図柄がとてもかわいらしくて私たちスタッフの中でも人気だった『新しいフェアアイル・ニッティング』の本が店頭ですぐに売れた。推しの本が売れるととても嬉しい。
店頭に置いてある『芹沢銈介全集』の値札をまだ付けていなかったのであわてて札を作る。この全集は芹沢銈介最晩年に完成した、芹沢の作品をほぼ網羅していても良いと言ったもので、その翌年に全集の刊行を待っていたかのようにして芹沢は息を引き取っている。発行元の中央公論社はいまはもうなく、新しく経営を引き継いだ中央公論新社の書籍リストのなかにも『芹沢銈介全集』の名前は掲載されていない。ウェブ上で検索しても古書の値段が出てくるのみで、この全集について語るものを探すのは難しい。本について知るにはその本を入手するしかないのだろうか。『芹沢銈介全集』には月報が付録で付いていて、これもとても貴重な資料である。1巻は物語絵の1(3まである)。ちょうど静岡市立芹沢銈介美術館では芹沢の絵本と挿絵展が開催中である。
2023.5.28
昨晩から雨。今日は来店者が少ないはずだと思っていたら、開店から午後3時まで客足が途切れず。こんな雨の日もあるのかと驚いた。
『山の會』のみなさんがご来店。週末にヒュッテ・ジャヴェルで會の『別れの集い』を行ったそう。「山の會」のことは常連のKさんからお話を伺っていた。松本で山岳書専門店・梓書房を経営していた岡茂雄が発行していた雑誌『山』の主催で1935年にヒュッテ霧ヶ峰で開かれた文化人の交流会で、6日間にわたって講演会やコンサート、山歩きを行ったそう。柳田國男、藤原咲平、尾崎喜八、深田久弥、大岡昇平といった著名な作家などが参加していたという。なんとも贅沢。『山の會』の精神を引き継いで2005年から活動していたみなさんが一度会を閉じるという。ジャヴェルの名付け親は尾崎喜八なのだそう。上諏訪からは車で山を登って30分、そのおとなりのクヌルプヒュッテにも今年は泊まりに行ってみたい。
諏訪の資料がたくさん入荷しています。小林茂樹「諏訪の風土と生活」(昭和52年・私家版)の巻頭に写真と昭和初期の諏訪大観絵図が。上諏訪の温泉寺の横にスケートリンクの文字を発見。昔はここにもリンクがあったのですね。
展覧会カタログの半額セールは来週も開催しています。
2023.5.27
店頭買取や出張買取が重なり、良書が山のように入荷しています。郷土本の本棚の場所を変更しないともう収まらなくなってきています。入荷情報は言事堂の新入荷のお知らせblogか日本の古本屋をのぞいてみてください。通販や取置きもお受けいたします。もちろん店頭でも確認しにきてください。新刊書も少しずつ増えてきています。こちらも通販ページにてご覧いただけます。
毎日のように郷土本を手にしたり読み込んだりしているので、あの資料はあの本の中にあったな、あの添付資料の原本はこの本の中にあるなというように、見てきたものが繋がってきました。手応えを感じてきて、仕事がますます楽しくなってきています。調べ物が多くて大変ですが。
2023.5.14
GWも過ぎて随分と暖かくなりましたが、朝晩はあいかわらず冷えています。厚着をしているのは私だけ?と思うこともありますが、寒いものは寒い。「あと2,3年で慣れてくるよ」と諏訪のみなさんから言われています。慣れるでしょうか。温泉はほんとうにありがたいです。
郷土書や展覧会のカタログなど、たくさん入荷が続いています。1月のオープンの頃より随分と増えてきました。通信販売部と日本の古本屋もどうぞ覗いてみてください。
明日、5/15(月)は長野県の古書組合の競り市開催のために臨時休業いたします。長野の組合市は初参加となります。長野の県産本がたくさんあるのでしょうね。楽しみです。
2023.5.13
値段の見直しや値札の書き直しのために、アルバイトの及川さんに作業をすすめてもらっている。ひとりではまったく手をつけることが出来なかった部分の仕事なので、本当に嬉しい。こまごまとした時間のかかる作業を及川さんにまかせて、私は私で黙々と仕事を進める。進めるしかない。
最近、薪ストーブの上部にある換気扇を取り外した函のようなスペースに鳥が巣を作っていることに気がついた。子どもたちが産まれて、よく鳴くようになるまでわからなかった。つばめかと思っていたら、ちいさな鳥が出入りしている。Yさんから、それはヤマガラだよとおしえていただく。外からみると、ちょうど換気扇のフードで雨風をよけられて、巣も落下しないで済むのでよい配置なのかもしれない。巣立つまで見守りたい。
太台本屋(tai-tai books)の三浦さんたちがご来店。版権のエージェントであり、台湾の本を広める活動をされているそう。天野健太郎さんの著作とも関わっているのだとか。うちでも並べてみたい。