言事堂の日記帖(2023.4-)
2023.7.24
店頭と出張の買取で本がどんどん集まってきて、廊下に山積みになっている。アルバイトの及川さんにリスト作りをやってもらっていても間に合わない。掃除、値付けと管理で一日が過ぎていく。そういう仕事とわかっていても途方にくれてしまう。仕入れの中に面白そうな本を見つけて頁をめくるのが何よりの楽しみではある。
夏休みの子どもたちに向けて、自由研究の参考になりそうな児童書を店頭にどんどん出します。均一本にするのでのぞきに来てください。藤森成吉の著作本もまとまって35冊入荷しました。
郷土史の仕入れのたびに知らない人物名が出てくるのでそのたびに開いている本が『信州人物誌』(信州人物誌刊行会)。人名ごとの索引もありとても重宝している。武井武雄や藤森成吉が掲載されていなくて?というところもある。名取洋之助の記載があって、なんでだろうと思っていたら、岩波写真文庫からの出版があるかららしい。なるほど。長野ではかつて全37巻からなる『長野県文学全集』という(地方での文学全集の刊行巻数では一番じゃないかと思う)書籍が刊行された。長野にきて驚いたことの一つがこの文学全集だったのだけれども、それだけ長野と関わる作家・著述家がたくさんいるということだ。古本屋の勉強は続く。
2023.7.7
七夕。 昨日。朝早くにoldeのみさとさんから電話あり。言事堂の向かいで火災が発生しているとのこと。慌ててお店に向かうと、斜め前の民家が全焼していた。まだ火の手が見えていて、焦げた匂いが言事堂の店舗内にも充満していた。規制線が外される気配がなかったので、急遽臨時休業にした。お店のことが心配で訪ねてくださった方々もいて申し訳なかった。延焼でもしていたらと思うと、ずっとちむわさわさー(本当にぴったりの言葉だ)して落ち着かなかった。火は本当に恐ろしい、すべてを奪うのだ。
鎌倉の出版社『港の人』の上野さんと井上さんがご来店。いつも直接注文をしていて、諏訪に来てからも本を送ってもらっていた。お会いするのは今回が初めて。なんでも、塩尻に梅を狩りに来たとのこと。温泉にもこれから向かうそう。諏訪に引っ越してきてから、出版社や編集者の方たちが訪ねてきてくださるのでとても嬉しい。
2023.7.4
6/27から7/4まで沖縄で過ごしていました。沖縄本島北部のやんばるに住んでいるkittaさんが藍染の染料作りをするというので、見学とお手伝いに出かけました。琉球藍の畑で茎から刈り取り、水を張った藍甕に刈り取った藍を沈めて55時間ほど待ちます。三日後には水に葉の染料が溶け出していて緑と青が混ざった玉虫色にも似た藍色に変化していました。ここに石灰を混ぜ、人の手により40分間休まず攪拌。さらに深みを増した藍の色に感動。忘れられない体験となりました。作業のお手伝いに20名ほどの人が集まっていたので、みんなで交代でこの作業を行いました。合間においしいご飯も堪能できて、久しぶりに友人たちとも再会できて、とても思い出深い8日間となりました。はじめてのひとりお店番をしてくれたスタッフ及川も4日間がんばってくれました。さあ仕事に戻ります。
2023.6.22
2023.6.11
先月開催した靴磨き職人の山岸君との展覧会時に、『靴のはなし』というタイトルで友人たちにインタビューをした。せっかくなので期間限定でウェブ上に載せてみようといま準備中です。もう少しお待ちください。靴の思い出話は聞いていて自分のことも思い出したり・・・。いま履いている靴のイラストを描いたので、これも掲載の予定。
学芸員のNさんがお店にいらしていたので、最近入荷した郷土史についてあれこれ質問。そうしたらするするとその本についての話題が出てきて、これは〇〇さんのペンネームですね、他にもシリーズがあって冊子が出ていますよ、とか、この方は在野の研究者で方言の本も出しています、とか。知らない事ばかりでとても勉強になった。竹内新八についての自費出版の本もすぐに売れた。新八の名前は岩波其残の展示で覚えていたので入荷した時は嬉しかった。諏訪に住んでいた眼の名医で、全国から新八を頼って患者が訪れていたそう。新八の屋敷のあった場所も古い地図に残っている。今度街歩きしながら実際の場所を確認したい。