言事堂の日記帖(2023.4-)
2025.9.18(木)-9.22(月)
9.18(木)
定休日に上諏訪のとあるお宅に出張買取へと出かけた。時々お話しながら査定を行なっていたところ、中村不折の話になって、眞澄のロゴになっている揮毫は不折の作だと初めて知る。夏目漱石の『吾輩は猫である』の初版本の挿絵を不折が描いていたことは知っていたけれども、上諏訪の老舗の店舗も手掛けていたとは。ちなみに眞澄の宮坂醸造からほど近いとある蔵元のロゴの揮毫は、そのお話をされていたHさんのお祖父様によるものだそう。びっくり。新宿中村屋と不折、岩波書店、夏目漱石、となんとなくつながってきた。なるほどなるほど。長野に来てから読んだり調べたりしていることがどんどん景色よくなってくることが楽しい1日だった。
休み中の通販の発送分の梱包で午後までかかってしまった。玄関に積み上げたままになっていた村野藤吾建築図面集全8巻揃を値付け。早くやればよかったのにいつも遅くなる。写真シートが残念ながら欠になっているけど売れますように。諏訪、長野の縄文関連の良書がまとまって入荷しました。縄文のメドゥーサ(旧版です)も。いい本たくさん入荷しています。お店にどうぞ遊びにいらしてください。
9.19(金)
午前中は琉球切手の値付け。いつの間にか結構売れていて驚いた。たくさん値付けしたので見てみてください。ピナイサーラの切手は未だ一度も見たことがありません。katsura booksの織田さんがご来店、「石垣りんの手帳」をお持ちくださる。銀行勤めだった石垣りんが、銀行から支給されていた手帳に綴っていた日記を抜粋して本にしたもの。ぱっと開いた1981年の日記を読んでいたら沖縄に行った日の日記で、沖縄ジァンジァンやじんじんのことが書かれてあった。当時、沖縄で会った人たちは誰だったんだろう…。カルチャースクールのことも書いてあったので、新聞社か何かの講演会だったのかな。そのまま3冊仕入れ。武田百合子にも思い入れがあったそうで、『日日雑記』のことにも触れている。引き続き縄文、古代史関連の書籍の値付け。まだまだだあるので気を抜かずに頑張ろう。昨日と今日と、雨のせいか店売りがいまいちだった。土日で挽回したい。
9.20(土)
常連のHさんが開店早々に立ち寄ってくださってしばらく立ち話。古本屋の話や山の話など。昨日に引き続き縄文、古代史の値付けを進める。荒神の古民家関係の人たちが続けて写真展を観に来てくださる。おおらかさ、たくましさ、きよらかさ…、写真から見えてくる景色は面白い。去年は絶不調だったけれども、おや、もしかして今年も色々と運が悪いぞ?というようなことがあれこれと起こる。それと同じくらいに良いことも起こる。極端だ。中庸でいいのに。今日はたくさん売れたのでほっと安心。もうちょっと頑張りたい。明日の仕事の準備をして帰宅。
9.21(日)
ぐるぐるバザールの日。朝一番でお詫びのお電話をいただく。ひと月前から仕入れの本の問い合わせをしていたのになかなか送ってもらえずにやり取りのすれ違いもあり、今回は仕入れを断念したのだった。こういうことはごくごく稀にある。「気」が合わなかっただけで、お互いの気が慌しかったのだろうと思う。ものすごく昔、とある人に「子育てで忙しいなんて、それって言い訳じゃない?」と言われたことを思い出した。言われたことの襞はまだ残っている。お客さんからお花をいただいて気持ちが和らいだ。ちょっとしたことがうれしい。持ち込みの絵本の修理が2件、本のコンディションを見ながら、どこまで補修するか探る。今日はたくさん本が売れました。その分仕入れもたくさん。
9.22(月)
昨晩は蓼科高原映画祭に行ってきました。蓼科には小津安二郎の別荘があり、小津作品の脚本を長く書いていた野田高梧の山荘もあります。小津ゆかりの地で28年も続く映画祭、もうちょっと人が来たらいいのにな、と思いました。クロージング作品『ハロルドとリリアン』はとても心が暖かくなる物語でした。監督のダニエル・レイムは小津のドキュメンタリーを制作、今年全米で公開だそうで、来年は日本にやってくるかな?蓼科高原映画祭での上映もあるかもしれません。ぎすじみち写真展、最終日です。ご来場お待ちしております。3日ほど前から急に寒くなった諏訪、もう秋かな。夏が終わって悲しいです。売り切れていたsuwazineのバックナンバーが入荷しました。ている舎の『新百姓宣言』、『チニアシ』の売り切れたバックナンバーも再入荷しています。今までサンプルのみで販売していなかった10号がなんと入荷しました。おまけ付きです。今日は査定を一気に終わらせる予定です。値付けが進まなくて、一向に『日本の古本屋』の登録件数が伸びません。火水は定休日、また木曜日に。